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無効と阻害と展開と

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『Cross Life-人生の交差-』 第1章 挑戦 

第1章 挑戦


-6月17日 12時36分 武藤高校1-A-


昼休み前の授業が終了し、昼休みが始まる。教室で授業を受けていた生徒達は、各自昼食を取り始める。その流れに沿って、二人の男子生徒も席で昼食の準備をしていた。



「霞ー、早く食おうぜー。昼休み終わっちまう。」


「いや、昼休みまだ始まったばかりだよ?戦。」



先に声を掛けた生徒は、赤井 戦(あかい いくさ)。いわゆる「元気な子」である。その呼び掛けに反応した生徒は、黒川 霞(くろかわ かすみ)。こちらは「男」と言うよりは「女」に見える子である。



「しっかし、授業もつまらないけどこの雨もヤダよなー。湿気でカードが曲がっちまう。」


「そうだね。5重以上くらいしてあれば、それも気にならないんだろうけど、決闘盤のホルダーに填まるの3重くらいまでだからね。」


「俺は普通に2重までだけどな。スリーブ代がもったいない。それに5重くらいしてる奴見たけど、あれはもう保護通り越してデザインだよな。」


「うーん、ジェンガやってる気分にはなるね。抜くのが1番上なだけで。」



二人は昼食を食べ進めながら、話を続ける。彼らがしている話の内容は、DM(デュエルモンスターズ)である。


DMは、世界的大ヒットを遂げたTCG(トレーディングカードゲーム)であり、その人気は下は小学生、上は大人までと親しまれている。性別の壁を超えたTCGの一つで、女性プレイヤーも多く存在する。


彼らが通う『武藤高校』は、過去歴史上最強と謳われた『武藤遊戯』の通っていた童美野高校を模写して作られた高校であり、プロ決闘者(デュエリスト)資格を学生の内に取得できる唯一の高校である。またここは、全国規模の大会の開催を許可されている数少ない学校でもある。


この学校の学業レベルは中級ではあるが、学業だけでは入学出来ない。決闘資格を取得できる学校の為、決闘試験も存在する。その決闘試験の合格によって、入学が決定する。ちなみにこの学校の毎年の倍率は、1万倍。つまり、この学校に通っている生徒はその試験を突破した生徒であると同時に、いち早く将来を決めていると言っても過言ではない。



「そう言えば、戦はどうしてこの学校に入学したの?やっぱりプロになる為?」


「いや、ここに来れば強い決闘者とばかり決闘できるんじゃないかって思ってさ。」


「でも戦。この2ヶ月間、誰にも挑んでないよね?僕にもだけど。」


「俺はまず、勉強と補習から抜け出す事から始まったからなぁ。中間駄目だったらまた補習の嵐だったし。」


「ハハハ。あれ、駄目だったら?って事は・・・。もしかして。」



霞の疑問を浮かべた顔を払拭するように、戦が机の引き出しから答案用紙を取り出した。そこに書かれている点数に関しては決して良いものと言えるものではないが、霞がふと共通点に気付いた。



「あ!赤点無いね、やったね戦!」


「そう!その通り!!!これで俺も決闘できるぜ。あの校則のせいで俺の決闘盤、2ヶ月も決闘モードだけロック掛かった状態だったからなぁ」



戦が言っているあの校則と言うのは、武藤高校校則第15条である。第15条にはこう記されている。


【決闘者たる者、学業を疎かにしてはならない。学校内試験で3教科以上の赤点を取った者には、次試験まで学校内での決闘を禁止する。また決闘盤には学校側よりロックが掛かるものとする。】


学校内に限らず決闘は決闘盤使用が基本とされており、決闘モードにロックが掛かっている場合は決闘出来ない様に設定されている。


つまり、決闘出来ず鬱憤の溜まっていた戦にとって、このロック解除は果てしなく嬉しいものであった。入学後の試験から速攻で全教科赤点を取り、6月の中間試験まで決闘が出来なかったのはある意味、学校側最速最長記録であるのはここだけの話。



「で、誰と対戦するの?」


「そりゃあ、入学当初から噂になってた【冷徹の女王】だよ。一度やってみたかったんだよなぁ。」


「でも確かその子には幼馴染がいて、その人に勝たないと戦わせてくれないらしいよ?今の所、彼女に挑めたの2年の赤紫先輩だけらしいし。」


「で、その先輩は勝ったのか?【冷徹の女王】に。」


「負けたみたい。しかもそれが赤紫先輩の不敗記録のストップだったみたいで、先輩自身煮え切らないものがあるみたいで結構挑みに行ってるみたいだよ。勝ったってのは聞いてないけど。」



霞は淡々と説明する。しかしそれは戦の決闘熱を大きく燃やす燃料材にしかならなかった。



「良し!放課後、乗り込もうぜ!」


「え?行くの?確かに今なら入学当初より挑戦者は少ないけど・・・、まずはその門番みたいな人を倒さないとね。そう言えば、僕まだ戦の決闘もデッキも見た事ない。」


「見たかったら来いよ。ってか強制連行だけどな。」


「やっぱり。でも、始めから一緒に行くつもりだったから問題ないけどね。」


「うん、流石霞。分かってるな。」



そんなやり取りをしていると、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り出す。霞と戦は、机の上に広げられていた弁当箱を片付けるや否や自分の席に座る。


昼休みを終えた授業。居眠りを多くする生徒の中で、その代表に近い戦が目をずっと覚まし続けていたのは、放課後を心待ちにしていたからこそと言える。だが授業を真面目にしていたかと言われると定かではない。





-6月17日 16時21分 武藤高校1-H-


放課後を迎え、多くの生徒が帰宅準備をする。その中で、教室の真ん中にいる二人の生徒はまだ帰り支度をしていなかった。一人の生徒は決闘盤を腕に構えている。一人の生徒は読書をしている。



「今日はお前にたどり着く生徒入るのかねぇ。」


「・・・渚のお陰で余計な決闘しなくて済んでる。いつもありがとう。」


「気にするなよ。お前のお陰で俺のレベルも上がったし、俺のデッキ調整にもなってるしな。炎華は今日も紅先輩の相手する事だけ考えとけよ。」


「あの先輩もしつこい。せめて1週間に1回にして欲しい・・・。ゆっくり読書も出来ない。」



会話を広げている『俺』と自分を言っている生徒は、森緑 渚(しんりょく なぎさ)。こんな名前ではあるが、れっきとした男である。その渚と話していた生徒は、蒼井 炎華(あおい えんか)。現在、【冷徹の女王】と謳われている学校内で1,2位を争う決闘者である。



『たのもーーーーーーーーーーーーーーっ!!!』



そんな会話をしている二人にも聞こえる大きな声が、クラス内に響き渡る。二人はまたかと入り口の方を見ると、彼らの思っていた人物とは違う人物がそこには立っていた。



「戦!声、大きいよ。それに・・・、一目散に走って行っちゃうし。」


「当たり前だろ、2ヶ月は長いぞ!それを心待ちにしていた俺の身になってくれよ。」



戦と霞は会話しつつ、クラス内を見回す。戦はともかく、霞も実はH組に来るのは初めてで、【冷徹の女王】がどんなのか噂でしか知らなかった為、一緒に探していた。


しかし戦が見回して分からなかったのか、大きく宣言した。



「【冷徹の女王】ってのが居るって聞いて、決闘しに来たんだけど誰か教えてくれー!!!」



クラスの中央に居た二人が「また別の挑戦者か」と言う意味で、彼らを見る。だが彼らを見て渚が一言言った。



「あいつら、今までの奴らとなんか違うな。それに見た事ないな。」


「・・・彼知ってる。赤井 戦って人。」


「炎華、知ってるのか?」


「入学後最初にあったテストで学年最下位取ったと同時に、全教科赤点で第15条に最速で触れた人。」


「・・・・・つまり馬鹿なのか。」



その言葉に炎華が頷く。渚が呆れ顔で見ると確かにと納得した。だが挑戦者を無碍に追い出さないのは渚の優しさなのか、戦達に声を掛ける。



「おい、挑戦者!そこじゃ何だからこっちに来い!」



その声に反応した霞と戦が、クラス中央にいる二人の下へ駆け付ける。渚の前に来た戦と霞。開口一番はやはりの戦であった。



「お前が門番か。って事は後ろの女の子が【冷徹の女王】か。お前は格好良いし、後ろの女の子は可愛いな。そんな二人が決闘強いなんて・・・燃えるぜ!」


「戦・・・、お馬鹿さん的な発言になってるよ。」


「お前ら、挑戦者って事で良いんだよな?」



渚の質問に戦が頷く。霞は観戦を理由にその質問を否定で返した。



「お前、名前は?」


「赤井 戦。お前は?」


「森緑 渚だ。」


「良い名前だな。」


「・・・名前を聞いて馬鹿にしなかったのはお前が初めてだよ。」


「親につけてもらった名前を馬鹿にする奴が居るんなら俺がぶっ飛ばしてやるよ!!!」


「・・・!」



渚はこの言葉を聞いて、今までの奴らがどれだけ情けない奴かを思い返した。そして同時に、目の前にいる人物の澄んだ言葉が本心と感じ、感激していた。


後ろに居た炎華も、幼馴染の苦悩を払拭した人間を初めて見た。そして、渚の安心に満ちた顔を見て、渚の言っていた『今までと違う』と言う言葉に納得していた。



「じゃあ渚。やろうぜ!2ヶ月ぶりの決闘に燃えてるんだ!」


「・・・・・一つ質問良いか?」


「?」


「お前、いきなり試験で決闘ロック掛けられたのか・・・?」


「おう!」


「・・・・プッ、アーハッハッハッハッハッハ!!!」



渚はそのハッキリした返事につい笑ってしまう。ここまで潔いと清清しい。そう思っていた。後ろの炎華もクスりと笑った。釣られ笑いと言うものだろう。それを見た渚は、久々の笑顔を見て益々笑う。



「アー笑った笑った。因みに、お前強いのか?」


「え?そんなの・・・、やりゃ分かるよ。」



この一言に、クラス内にいた全員が何故か戦慄を覚えた。それは一番強い炎華が一番感じていた。今の一言は、今までの決闘者と違う何かを感じさせるものだった。



「よーし、じゃあ始めるか。決闘盤(デュエルディスク)オープン!デッキセット、カウンタースタート!」



その声と共に、腕に付けられていた決闘盤が展開される。お互いがデッキをセットすると、ライフカウンターが《8000》を記した。



「じゃあ行くぜ、渚!」


「・・・来い、戦!」


「「決闘!!!」」



二人の決闘が始まる。霞は心配半分期待半分で、炎華は興味を持ってその決闘の観戦に勤めた。今読んでいる本にしおりを忘れて閉じた事も、気にしていなかった・・・。
2012/07/05 Thu. 08:05 | trackback: 0 | comment: 0edit

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