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無効と阻害と展開と

遊戯中心の基本ブログ。他に出来るのはGW・クルセイド・WS・ヴァンガード・BS・Chaos

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『Cross Life-人生の交差-』 第1章 入学式の異常 

一応、週1更新です。面白くは無いと思いますが、少しでも興味の琴線に触れられれば。



-4月8日 午前7時 とある一室-


『Pipipipipi・・・・バンッ!』


無機質な電子音が、突如とした衝撃と共に止まる。それを止めたのは、この電子音を放つ目覚まし時計が置かれた部屋の主であった。



「・・・・・7時か。相変わらず、この『スヌース機能』って奴はむかつく。だんだん大きくなるとか朝から不快感と共に喧嘩売ってるとしか思えねぇ。」



その電子音を放っていた目覚まし時計に独り言をつぶやくが、主はその行動の無意味さを悟ったのかすぐに時計を置き、部屋に有るクローゼットを開ける。


ベッドの上にパジャマを脱ぎ捨てると、自分が今日から着る制服を纏い始める。主の部屋には全身を移す鏡があったが主にとってはそれは無用の長物であった。


その服に身を纏った部屋の主は、その部屋を出る。向かう先は洗面所。主の日課である『洗顔』である。



-午前7時7分 洗面所-


洗面所に付くとそこには既に先客が居た。背格好は、主と似ても似つかない小柄な体型の女性。主はそんな女性に一言放った。



「顔洗いたいからどけ。」


「あ、おはよう。でもそれが朝最初に会って妹に言う台詞?もうちょっと爽やかな朝を演出してよ。今日は入学式でしょ?」


「入学式程度で浮かれるなんてどこの小学生だ。良いからどけよ、結(ゆい)。」


「はいはい。全く私たち兄弟姉妹の長が、こんなぶっきらぼうなんて信じらんないよ・・・。」


「俺の人間性を否定するな。お前にはそれこそ関係ない。」



主と結と呼ばれる女性が会話をしていると、一人の青年が同じく洗面所を訪れる。その男性は結と呼ばれる少女と顔が瓜二つだった。


それに気付いた時には、先に声を掛けられていた。



「おはよう。あ、結ここに居たんだ。」


「あ、司郎。おはよう。私は最初からここに居たけど?」


「司郎、俺の洗顔を邪魔するな。」



結と主に呼ばれた、司郎と言う名の青年は二人からの声掛けを聞きつつ、主へと返答する。



「勿論邪魔しないよ。洗顔は日課だもんね。僕は母さんに結を呼んで来る様に言われたんだよ。」


「そうか。結、そういう事だ。さっさと行け。」


「ねぇ、私の事嫌い?流石にそんな言われ方すると傷付くんだけど。」



ふと結が不安げな表情を纏い、主へ何かの確認を取るような質問をする。主はどうでも良い事を聞いて来たという感じの雰囲気を出してはいたが、自分の気持ちを吐露する。



「俺は事実を促しただけだ。俺の日課を邪魔しなければ、別にそんな感情はねぇ。」


「そっか・・・。ごめん、変な事聞いて。」


「良いから行け。母さん待たせる方が俺の命を縮める事に気付け。無論、お前等の命もな。」


「「す、すぐ行きます。」」



そう言って、洗面所から二人が姿を消す。主は朝から騒がしい二人だと思いつつも、どこか見守る様な顔付きだった。そんな顔付きを鏡で確認した主は、自分の顔に愛想を尽かした。


そうした後にすぐ蛇口をひねる。春真っ盛りとはいえ、まだ水は少し冷たい。だがこの『洗顔』が、主にとっては堪らなく心地良い。それは、水が冷たい等の刺激的な意味ではない。


その意味を知るのは勿論主だけであり、だからこそ邪魔されたくないと言うのが本音にある様だ。洗顔を済ますや否や、後ろから主に声が掛かる。



「すっきりした?次は私の番だから、代わってくれるかな?」


「何時から居たんだ?閃(せん)。」


「顔洗い始めた辺りから。だけど邪魔したら悪いから待ってたんだ。」


「そうか。邪魔しなかったのは褒めてやる。」



そう言いながら主は洗面所を後にする。すれ違い様に主は閃の頭を軽く撫でてやった。ただこの行動に意味は無い、無意識なものである。



「お前も今日は入学式だろ?さっさと済ませろよ。」


「う、うん。」



主が洗面所を離れた後、閃は顔を赤らめつつニヤけながらも顔を洗い始めた。その意図を知る者は今は居ない。



-午前7時30分 リビング-


「全員揃ったな。では揃って・・・」


【いただきます。】



その合図と共に、リビングに集まった結・司郎・閃・主に加え、その四人の母親と思われる人物が食卓を共にしていた。食卓は何故か、「いただきます」の言葉から沈黙に包まれていた。



「・・・。」


「・・・。」


「・・・。」


「・・・。」



結・閃・司郎・そしてその母親が沈黙している中、その沈黙を破ったのは基本無口であるはずの主だった。



「お袋、司郎と結・閃の入学式に行ってくれ。俺は良い。」


【え!?】



この言葉に、三人が動揺の色を隠せずに慌てる。だが母親と思われる人物は眉一つ動かさず、主へ返答した。



「お前は、私に来て欲しくないのか?」


「物理的に無理だ。なら近い学校同士での方が効率が良い。お袋も理解してるだろ?切るなら俺が楽だ。」



このやり取りに関して、他三人は自分達の位置環境を考え直してみた。


主が通う事になる学校は、家からは電車で二駅程度だが、他の三人が通う学校は主が通う予定の学校の駅の進行方向と反対側に3駅離れていた。


つまり、三人の学校から主の学校までは五駅離れている事になる。この事を把握していた主は、まだ主的に見て幼い三人の方へ母親を行かせる事で、母親を来させない様にしていた。


だがそれは表面上の理由で、内心では三人が浮かれない様に、そして周りから浮かない様にと言う保護者心があった。その心はさながら三人の『父親』の様である。


その意図は母親には気付かれている。だが多くを語らずとも理解し会える関係に有る、一番長く家族をやっている二人は、多くを語らなかった。



「お前はそれで良いのか?」


「別に。一人の方が楽だから。」


「分かった。だがお前も買わないとならないものがある。金は先に渡しておくぞ。」


「ん。食後受け取る。」



その言葉を最後に食事が再開される。三人は食べた心地がしなかった。



-午前8時 玄関-


「じゃあ三人、少し早いが行くぞ。閃、後で行くからな。」


「う、うん。お母さん、本当に行かないの?」



閃が確認を取る。その確認の後に二人が母親を見つめる。だがそこに主は居なかった。



「あぁ。あいつがお前達を取らせる様にしたんだ。」


「でも・・・。」


「お前達には、あいつの気持ちがまだ分からないか。なら分かる様になれ。それは兄弟であるお前達の義務だ。」



主の意図を汲み取れなかった三人は、母親の言う事をイマイチ理解できていなかった。



-午前8時30分 通学路-


「・・・・・。この長い坂がここの学校の特徴なのか。」



主は既に学校前に連なる坂道の前に来ていた。主が通う予定の学校は、駅からは近いが山登りに近い長い坂を上った先にある。



「・・・めんどくせぇ。」



そんな事をぼそっとつぶやきながらも、坂を上り始める。坂自体はなだらかな為、徒歩でも自転車でも登れない事は無いが、長いの一言に尽きる。この区間専用のスクールバスが出ているほどだ。


主が歩いている中、車道は渋滞していた。それを見つめながら思った事は、『ご苦労様』と言う憐れみも含まれた労い。そこに特別な感情は無い。



「お母さん、ここで良いから!私は先に行くね!」



バンッ、と言う音と共に主の前を一人の女子学生が通る。主はつい一言、



「邪魔。」



と言った。これを聞いた女子学生は、足を止め返答する。



「初対面の子に対して、その一言は無いんじゃない?」


「俺の前に出なければ言わなかった。俺の前に出たお前が悪い。」


「じゃあ私じゃなくても言ってたって事?君、嫌われるよ?」


「嫌われたから人生がどうかなる訳じゃない。」


「それはそうだけど・・・。この坂上ってるって事は同じ新入生って事で良いんだよね?」


「見れば分かるだろ。」



そう言って、主はその女子学生の横を通り過ぎて足を速める。これ以上は時間の無駄と判断しての行動だ。だがそれに付いて行きながら女子学生が話しかける。



「ちょっと!その切り方は無いんじゃないかな?折角同じ学校なんだし、一緒に行こうよー。」


「先に行くって誰かに言ってたろ。さっさと行け。」


「えっ、さっきの会話聞いてたの?」


「あんな大声で話してれば勝手に耳に入る。所で、お前は何故付いて来る?」


「方向同じじゃん。何言ってるの?」


「・・・馬鹿はこれだから。勝手にしろ。」



そう言って主は、走って学校へ向かった。流石の女子学生も、彼をそこまでは追わなかった。



「ちょっと!馬鹿って何よ!・・・って、走って行っちゃった。どうせ目的地同じなんだから、会うって言うのに。あ、名前聞いてないや。だけど特徴的だったからすぐ分かる。・・・格好良かったし。」



-午前9時 体育館-


時間に間に合った主は、一人入学式を受けていた。周りの保護者同伴の学生達は何も言わなかったが、その保護者達が何かつぶやいていた。


(大方、入学式に親が来ない事を懸念していたり、俺を悪く言っているんだろう。)


心底どうでも良いような事を思いながら、入学式が進行される。そして最後となる、新入生代表挨拶。開放感を受け取る準備をし始めた主の耳に、聞き覚えのある声が入ってくる。



『新入生代表、神藤 藍花(かみふじ あいか)さん。』


「はいっ!!!」



それは、主が先程会話した女子学生。知りたくもない名前を今耳にしつつ、挨拶に耳を傾ける。内容はこれまでの『新入生挨拶』からは逸脱した内容で、少なくとも主はこの様な新入生挨拶は聞いた事が無かった。


それは、端的でありながら、何処かで心に残る一言だった。



『皆ー、自分だけに【ある】ものを持って3年間楽しもうねー。』



主は放心していた。入学式に参加していた教師陣はそれを言った神藤を呼び出し、新入生は騒ぎ出し、保護者は不安に狩られた顔をしていた。その隣でクスクス笑う女性が居た。



「・・・貴方の娘ですか。」


「あら?分かっちゃった?」


「あれはどういう育成をしたら、あぁなるんですか?」


「『全てが楽しい、何もかもあるものだ』って教育すれば問題無かったわ。」


「・・・・・そうですか。行ってあげなくて良いんですか?教師の所に。」


「優しいね、さっき藍花と話してたイケメン君?」



その言葉に少し動揺を覚えたが、その動揺はすぐに消えた。主は自分とあの「神藤」と名乗る女子学生との出会いの状況を思い出した。そして、車に乗っていたであろうこの女性が見ていないはずがないと悟った。


そんな主の思い出しも関係なく、神藤の母親と名乗る女性は話を続ける。



「キミ、名前は?」


「答える理由が有りませんが。」


「理由がないと答えないの?寂しいね。」


「一言余計です。」


「でもキミ、面白い。ねぇ、何で『この世には何もない』って顔してるの?」



その一言で戦慄が走った。主は顔にこそ出していない。だがこの女性は、主自身が奥底で抱えている一つの【思考】を見透かした。主はしばしの沈黙の後、



「武神 刹那(たけがみ せつな)。」


「へぇ、格好良い名前だね?せっちゃん。」



そこで会話が切られ、神藤の母親らしき人がその場から離れる。刹那は彼女に見透かされた心を思い返しながらつぶやいた。



「・・・この世には何もない。少なくとも俺はそう思っている。」



会場がどよめく中、入学式が波乱に終わる。刹那と藍花、二人はまだ出逢ったばかり・・・・・。
2012/05/21 Mon. 10:01 | trackback: 1 | comment: 0edit

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まとめtyaiました【『Cross Life-人生の交差-』 第1章 入学式の異常】

一応、週1更新です。面白くは無いと思いますが、少しでも興味の琴線に触れられれば。

まとめwoネタ速neo | 2012/05/21 23:34

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